Vol.17
 『失われた楽園』(南海の島々)
 ロロはタウスグ族で、先祖はホロ島の海賊だったらしい。タウスグ族は卓越した船乗りで、海賊としても名をはせていた。ミンダナオ島のセレベス海に面した小さな漁村がロロの故郷で、船をそこに係留して、三人は航海の疲れを取るためにしばらく村で休むことにした。村でのんびりしていると、街に買い出しに行っていたロロが血相を変えて帰って来た。街の港に日の丸の旗を上げた高速艇が来ていて、旦那達の船を探しているようだったと告げた。香港での事件といい、どうやら日本軍の諜報機関か何かが忠平達を追跡しているらしかった。ここにも来るかも知れないので、二三日中に出発できるように準備を始めた。
 ミンダナオの村を出発したのは5月も終わりに近い頃だった。そろそろ台風シーズンが始まる頃で、その日の海も少し荒れていた。船の目的地は、石でできた遺跡らしきもの(ナンマドール)があると言われるポンペイ島で、パラオ、トラックと途中の島々をたどりながら東へ東へと進む予定だ。日本軍の追っ手は、おそらく忠平から盗んだメモ帳を見て、行き先の見当をつけたのだろう。
 この海域に詳しいロロのおかげで、島陰や小さな入江に船を隠しながら日本軍に見つからないように航海ができたが、トラック諸島を航海しているとき、いよいよ、高速艇が着実に近付きつつある感じがあった。ロロは昔ながらの星を観て航海する技術に優れていたので、以後ロロに舵を任せて夜に航海することが多くなっていた。
 その夜も、うねりはあったものの、星がいつもより綺麗に輝いていたので、バロータの判断で船を出した。夜中を過ぎたころ、しだいにうねりが高くなりだし、雲が急速に流れ始めた。急に追っ手の強い風が吹き出し、船は嵐の中心に向かって吸い込まれるように進み始めた。全員で帆をたたみ、船首からアンカーロープを流し風上に船を立て嵐に備えたが、あっという間に風も波も強くなり、滝のような雨が降ってきた。三人は船室にこもって嵐が過ぎるのをじっと待つしかなかった。しかし嵐は激しくなるばかりだった。
 まる2日、船は嵐から抜け出せず、嵐と共に進んだようだった。2日目の未明になって船は浅瀬に引っ掛かって止まった。明け方、嵐は船を残して先に進んだよううだった。明るくなって三人はやっとの思いで傾いた船室から外に出た。船は浜からそう遠くない浅瀬に座礁していて、マストは途中から折れて無くなっていたが、他は大した破損はないようだった。幸い潮が満ちてくれば脱出できそうなところだったので、三人は一先ず上陸してみることにした。三人は手分けして、船を安全に繋いで置ける入江がないか探した。都合のいい入江はすぐに見つかり、船はそこに係留することにした。
 現在の位置を測ろうと六分儀を出したが、嵐で壊れたらしく六分儀は使えなくなっていた。ロロは、夜になって星が出れば大体の位置が分かるだろうと言った。 流れ着いたところは、周囲3キロほどの小さな無人島らしいこと、位置は遭難地点から北東方向に相当流された場所であることが分かった。台風にかなりの速度で運ばれたらしい。島の中央は小高い丘になっていて、上部は平になっているように見えた。船の近くに生活の環境を整えてから島の内部を探索することにした。
 草やツルをかき分けて進むうちにバロータが突然立ち止まり、足元の茂みにしゃがみ込んだ。しばらく地面の土を払っていたが立ち上がるとここは遺跡だと言った。バロータの足元には石畳の一部が露出していた。小高い丘と見えた所も石を積み上げた人工物のようだった。バロータ達はこの島を徹底的に調査することにした。 (続きは次回に!)
10月30日
 マルコから手帳の話を聞いたので、とりあえずオレはアラハレイクのアンナさんのところに行って、手帳について分かったことをすべて報告しようと思う。
 アンナさんてかなり魅力的な人なので、逢うのが愉しみだなぁ。40過ぎてもオバサンにならない女の人って少ないからね。若いときにどんなに可愛くてもオバサン化しちゃうんだよね、たいていの女は。
 最近は3D でかなりリアルな人間が作れるから、自分の理想の女性なんか3D で簡単に作れるんだろうな。アラハレイクまでの道々オレの理想の女性を考えてみることにしよう。オレと一緒に放浪の旅ができる人。人生も長い旅みたいなもんだからね。と、助手席を見ると、PowerBook G4 があるじゃない。チタンのやつ。買った覚えなんかないのに?不思議に思いながらパワーをオンにすると、何やらソフトが立ち上がった。
 <あなたの理想のひとを創る3D ソフト『いい女』>ダサイ名前のソフトだなぁと思ってアイコンをクリックすると、音楽と共に女性の声で『音声入力になっておりますのでドライブしながらでも安全に理想の女性を創ることができます。次の質問に答えて下さい』ダサイわりには安全を考えてあるんだと感心していると『外見を入力して下さい。身長は?』早速質問が来た。「身長は160cmから170cmの間」オレの身長は165cmだから前後5cmまではOK。旅には力仕事もあるから、ある程度の体格が欲しいし、自分がチビの方だからチョット大きめの人が好きなのだ。
 『体重は?』 えーと、体重は身長から考えて「50Lから60L、ただし体脂肪率は20%以下ね!筋肉質でもしなやかな筋肉で体力のある人。10Hぐらい平気で歩けなきゃね、もしもオレが山の中で怪我しても、10H下の村まで休まないで走って行けちゃうぐらいの人がいいな。でも、フルマラソン走っても平気でインタビュー受けちゃうQ ちゃんみたいのはだめ!オレのほうが強いという優越感が持てないとね。顔はねえ〜・・・」
 『顔は入力できません。顔は性格の入力で自動的に創られます』 ホ−なかなかやるねぇ−。たしかに精神が顔を作るからねぇ−。『性格の入力に移ります。お好きな性格を思い付くままづらづらと言っても構いません。さあどうぞ!』 さあどうぞって急に言われてもねぇ「まづ、優しい人。あッ、優しいって言うのはね、ふにゃふにゃしたのじゃないのね、心が強くないと本当に優しくはなれないから、心が強いひと!心が強いていうのは、他人に寛容で、いつも前向きに物事を考える。つまりプラス思考ね!人の悪口や愚痴を言わない、頭が良いのに自分は頭が良いと思ってないひと。子供とすぐ仲良しになれる。食べることに真剣で、料理をまめにする、それもある物で工夫して!物を創ることが好き、イマジネーションが豊かで努力家、他にないかなぁ〜、スポーツが好きで、夜を楽しむことを知っていて、これはできたらで良いんだけど、時々アストラッド・ジルベルトみたいな声でオレに歌ってくれるひと!どうだ、これくらいで」
 『最後にどんな価値観を持ったひとかお願いします』 「価値観ねぇ、人がどんな価値観を持とうが兎や角言うことはないんだけど、金を価値観の中心に持っているひとはバツね!金はただの道具に過ぎないことが分かっている人が良いね!金を基準にオレを見たら、オレなんかゴミに見えちゃうよ、きっと!そういうこと」
 『では、よかったらリターンキーを押してください』 「よし!リターンと」オレはリターンキーを押した。すると、ハードディスクがカリカリ言い始めた。計算してるねと思っていると、画面が明るくなって、3D の女性の姿がクルクルと回転しながら頭の方から現われた。 オッ!!(現われた女性がヌードだったので息をのんだところ。したがって図版は載せることが出来ない)良いね!良いね!オレの好みかも!と思っていると、画面の中の女の首が伸びたり縮んだりしている。画面に『身長の入力に10cmの幅があるので』と出た。オイ!オイ!と思っていると突然女の首がろくろッ首のように伸び始めて、画面から飛び出してオレの顔を舐め始めた。ワッ!と驚いたら目が覚めた。ブギーがオレの顔を舐めていた。