by ichi
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火曜日の晩はレストランではなく、ビーチの脇に建っているマニアバでローカルダンスを楽しみながらの晩飯が用意される、ダンスはとっくに始まっているだろうと思っていってみると、日本のアングラー達が戻ってきていない。なにやら大物を求めて随分遠いポイントに向かったようだ。改めて時計を見ると7時を少し過ぎたところだった。随分長い時間椰子林をウロウロしていた気がしたのだが・・・さながらクリスマス島の手の平の上で弄ばれた孫悟空の気分である。ホテルではゲストを飽きさせない為に週に3日アトラクションを用意している。火曜日と木曜日の晩はローカルダンス、日曜日はレストランに聖歌隊が来て賛美歌を合唱する。ダンスは火曜日がドラムダンスを中心にした比較的新しいアレンジのもので、木曜日の方がよりトラディショナルなダンスとなっている。僕らが飯を食い終わる頃にようやく日本チームが戻ってきた。

昼下がりのマニアバで読書をするカップル。


チームの親分は清水一郎(クレオール代表)さんだ、僕は釣りをしないので情報がなかったのだが、彼はその世界では超有名人で10年以上昔からこの島を馴染みにしている強者だ。彼自身のショップのお客さんが6名程と今回は奥さんと子供さんも同行している。6歳と8歳の女の子達は何を見ても楽しそうで、「この年でこんなところに連れてきたらろくな大人にならないよな〜」と嘘ぶいている親父さんの膝の上で、ケタケタと笑い転げている。2人は今日テブアケア村の小学校に体験入学してきたようで、入れ替わりでそのことを僕に報告しにくる。ちょっと授業風景を覗きに行ったつもりだったのが、朝礼で自己紹介をするハメになり、2人とも大パニックだったようだ。年上の子は妹がベソをかいた話をする、下の子もお姉ちゃんが泣き出してしまった話をする、それぞれ別々に話をしに来るのだが、その実結局2人とも泣いちゃったことがばれると、泣いた泣かない・言った言わないの大喧嘩が始まる。それもしばらくすれば収まって仲良く椰子の木登りを始める。ちょっとした失敗やなんかで2・3日くよくよ悩みがちな僕からすると子供達の移り気の早さは羨ましい限りだ。

にぎやかな子供達とは裏腹にアングラーチームは元気がない。さすがに疲れもあるようなのだが、どうやらなかなか大物に出会えないらしくて、それがひびいているようだ。

※クレオール

御徒町にある有名なフィッシングショップ、Web Siteは下記参照
http://www.ichis-creole.com/
全面フラッシュのSiteです。

小学校の朝礼の様子。

手前の子供達は何か悪いことをして怒られている様子なのだが、反省している様子はない...奥の方にずらっと揃った子供達を見るとこの島の子供の多さが分かる。


デザートの半分凍ったチーズケーキ(これが以外と旨い)を食べ終わる頃にようやく2tトラックに乗ってダンスチームが到着した。今日のダンスチームは先ほど通過したバナナ村から来たらしい。クリスマス島には村や集落ごとにチームがあり、入れ替わりでやってくる。クリスマスにはチーム対抗のダンス競技会が開催されるし、週末となればどこかの村のマニアバでダンスフェスティバルをやっているというくらい、この島の人はダンスが好きだ。今日のダンスチームはブリキの一斗缶と平たい木箱を使うドラムダンスを見せてくれるようだ。


もともとは小さな船で沖に出て寂しいときや苦しいときにヘリを叩いて歌ったのが始まりとされるこのダンスは、明るくて勢いがあるのが特徴だ。一団はまずマニアバの隅にある高さ15cm半畳ほどの大きさの木箱を場の中心に移動する。常にマニアバに放置してあるその木箱はこのダンスが始まるまで何に使うかわからないほど質素なただのベニヤの平たい台である。その木箱を囲むようにしてまず男達が輪を作って座り込む、いつもはノロノロとしている彼らだが、このときだけはきびきびと動く、これから大好きな事をやるんだぞ〜というワクワクした気持ちが伝わってくる。それと同時に輪の後ろに女性達が30人ほど横列を作って集合する。列の後ろには隠れるように女の子や男の子達も加わってくる。男達は裸の上半身にズボン、椰子の葉でもうしわけ程度に作ったタスキのようなものをかけている。女性は下着のような白いT-シャツに腰蓑を着けるだけの簡単な格好だが、浅黒く日焼けした男達の背中は格好が良いし、ずらっと勢揃いした力士並の女性達も圧巻である。


輪の中央にはこれぞ南の島の酋長!といった風貌の爺さんがボテッと座っている、彼のまるで死ぬ覚悟をもって絞り出すような掛け声から始まるダンスは、殆どが2〜3分ほどの短いものだ、まず酋長の掛け声、続いて男達の無骨な素手で叩かれる木箱のリズム。ブリキの一斗缶からはじきだされるにぎやかな音、そのリズムに乗って南の島の女性特有のキンキンとしてそれでいて耳障りがよい不思議な音の歌が始まる。リズムがどんどん早くなって最高に盛り上がったところでスパッと終わってしまう事に物足りなさを感じるかもしれないが、何曲も重ねていくことでダンサーも、見ている僕たちもどんどん高揚し、その場が喜びに満たされていくことを感じることが出来る。実際どんなダンスなのかというのは下のビデオクリップを見ていただきたいのだが、なんといっても踊っている人たちの笑顔が嬉しい。お金の為に踊っている、というような猥雑さが無く、観客そっちのけで踊りを楽しんでいるその純粋さが素敵だ。それに、蔭の方で遠慮しがちに踊りの列に加わっている子供達の活き活きした表情、マニアバの外に座って様子を伺っている幼い子供達のダンサーに対する憧れや羨ましさに満ちたキラキラした眼差し、東京では見ることが少なくなった子供達の純粋な表情も、このダンスショウの重要な要素となっている。


drum.mov(7.2MB:1分17秒)QuickTimeフォーマットです。

Quick Timeはこちらで無償ダウンロード出来ます。(Mac/Windows)

一曲目が終わると女性ダンサーが観客の頭に歓迎の花輪をかぶせて回る。西洋クチナシをはじめとした色とりどりの花々が椰子の葉から取った紐に編み込まれている。島のどこにこんなに沢山の花が咲いているのだろうと毎回不思議に思うのだが、花々の鮮烈な香りは辺り一面に広がって何とも言えない贅沢な気分にさせてくれる。そうは言ってもかぶり続けているのは照れくさくて大抵は途中で外すのだが、今回はそれも忘れてダンスに熱中していた。花輪を捨てるのがなんだかもったいないので、部屋に戻ってクリスマスカードが入っている段ボール箱の中にバラして入れるようにしている。クリスマス島の香りと一緒にカードをお届けできるのでは?と思ってやっているのだが、さてどうだろうか?クリスマス島からクリスマスカードが届いたときにはまず香りを確かめてみて欲しい、かすかにプルメリアの香りがすれば大成功だ。