Round 122「2005年10月21日にバリ島へ行った」

往きの飛行機からして、座席はガラガラだった。バリ島のデンパサール空港へ到着する。迎えに来てくれたバリ島の友人も、会うなり「本当によく来てくれたね!」と、少々大袈裟に僕の手を握る。いつもと全然ちがうじゃん!?

車でホテルへと向かう。いつもと同じ夕陽の時間。いつもはブンブン走っている車の量が妙に少ない。「車少ないね?」と僕。「お客さんいないよ。」と友人。そして「あの晩はたいへんだったよ。日本でもすぐにニュースになった?」僕は「多分バリ島よりも早く映像が流れたよ。」と言う。「そうそうCNNの方が早かった!」と言って笑った。

バリ島の人たちは、出来ることはなんでも自分たちでやってしまう。急病人が出たり、交通事故が起こったり、火事が起きたりすると、その場にいる人たちみんなが協力して、テキパキと問題を解決してしまう。

前回の爆弾テロの時は、怪我人を助け出したり、消化をしたり、壊れた物を運び出したりしたせいで、現場検証に非常に支障をきたしたらしい。今回は、その教訓が生きて、現場はそのままの状態にしておいたから、犯人や犯行の手口がすぐに判明出来たのだ、と彼は教えてくれた。

それにしても街はガラガラだった。ホテルやレストランには、警備がいちいち車や人を止めて、トランクや荷物のチェックをしている。外資系のホテルや大きなショッピングセンターには、機関銃を下げた兵隊までがいた。

おそらくこれからさらに、バリ島へ向かう人はずいぶんと減ってしまうのだろう。彼も観光客のガイドをしているため、そのことにはとても敏感だった。前回の爆弾テロから、ようやくバリ島に、また観光客が戻り始めた矢先のことだからだ。

「困ったね。」「困ったよ。」そんなことを言っているうちに、車はホテルへ着いた。入り口で警備員が車をチェックする。反射鏡を車の下に滑り込ませる。最後に僕と友人の顔を見ると「サンキュー」と、白い歯をニカッと見せて警備員は言った。これから10日間の僕のバリ島警備の旅が始まる。