Round 109.「ドラゴンフルーツの中身」

南の島の果物は、見た目が結構派手なものが多い。でもこれは果物に限ったことではなくて、魚なんかもとにかく派手だ。でもそれを言うなら、何もそれは果物や魚に限ったことだけではなくて、人間の格好もずいぶんと派手だ。

人間そのものが派手というのは結構面倒臭くて嫌やだったりもするけど、ただただ色合い的にカラフルなものを着ている人は、南の島においては微笑ましくも感じられて、美しく見えたりカッコよく見えたりする。

でも何が派手かというと、こいつの派手さには大抵の人たちは降参をしてしまうと思われる。そいつの名前は“ドラゴンフルーツ”という。名前からして、もうかなり派手な奴だ。

いつものようにスーパーマーケットに買い物に行った時、店員の女の子がかなり強引にこのドラゴンフルーツを勧めてくれた。そもそもこのドラゴンフルーツってバリ島産のものではない。ましてや日本でも売っている。「これ本当に美味しいよ!甘くて最高!」とかなりシツコイ。でも“甘い”って??

僕のドラゴンフルーツに持っている印象はほどほどすっぱい感じ。すっぱいっていうとちょっと変だけど、でも甘いっていうのとはちょっとちがうんじゃないの??でもきみがそんなに言うんだったら、まちがいなく“甘い”んだよね!

ホテルの部屋に戻りすぐさま冷蔵庫に入れて食べるタイミングを計った。でもそうそう簡単に冷えるわけではない。よし明日の朝食べよう。そう決めてしまうとすぐに時間は経った。

美味しい。かなり美味しい。おまけに甘い。本当に甘い。なんで?なんで?日本で食べたドラゴンフルーツと何かちがうの?不思議だ。なんだかちがう果物を食べているようだった。

するとドラゴンフルーツが、少し自慢げに僕に言った。「あのね、南の島の果物は、ちゃんと南の島で食えよ。」僕は、そんな奴のかなり派手な格好が、なんだかちょっと癪に障った。