Round 104.「バリ何回目?」

行く先々、会う人々に「バリ何回目?」とよく聞かれる。タクシーに乗ったり、買い物をしていたり、食事をしていたりすると「バリ何回目?」と聞いてくるドライバーや店員やウェイターが本当に多い。

真面目な僕はその度に、ちゃんと「初めて!」とか「二回目!」とか「三回目!」とか答えていたのだが、そのうち「忘れた!」とか「数えてない!」とか、面倒臭さにかまけて、適当に答えるようになった。

察しのいい人ならもうお気づきだと思いますが、これは親切からでもなんでもなくて、ただ単に商魂がたくましい、と言うか、隙あらばボッテやっちゃうもんね的な、下心がありありなんですね。

僕がタクシーに乗る。行き先を告げて車が走り始める。と途端に「バリ初めて?バリ何回目?」と始まる。「う〜ん!たくさん!」と曖昧に答える。「アシタ・ドコイク?キマッタ?」とさらにそのサービスは続く。「「う〜ん!アイ・アム・スリーピング!」とか答える。「スリーピング???」ドライバーは驚く。

でもそれくらいじゃ諦めない。「アサッテ・ワ・ドウスル?」とか聞いてくる。
「アサッテ・ワ・ワカラナイ!」と答えると、「ホテル・ドコ?ムカエニイク!」
とかと言う。きりがないので再び「スリーピング!」と答える。すると「スリーピング???」とドライバーは再び驚く。

僕は、こんなんでいいのか!といつも思う。それは勿論ドライバーにではなく自分に対してである。こんなテキトーでいいのか!?と僕はさらに深く思う。
こんなに不誠実でいいのか?と思う。それは勿論ドライバーに対してではなく、
自分に対してである。

でも何度も何度もそれをくり返してしまう。僕の中での誠実と不誠実の線が、ゆらゆらと揺れる。が、南の島はそれをも許してくれる。いや許してくれそうに思えるのだ。

それからというもの「バリ何回目?」と聞かれる度に、僕は勝手にどこか遠い世界へ旅立つようになってしまっている。