察しのいい人ならもうお気づきだと思いますが、これは親切からでもなんでもなくて、ただ単に商魂がたくましい、と言うか、隙あらばボッテやっちゃうもんね的な、下心がありありなんですね。
僕がタクシーに乗る。行き先を告げて車が走り始める。と途端に「バリ初めて?バリ何回目?」と始まる。「う〜ん!たくさん!」と曖昧に答える。「アシタ・ドコイク?キマッタ?」とさらにそのサービスは続く。「「う〜ん!アイ・アム・スリーピング!」とか答える。「スリーピング???」ドライバーは驚く。
でもそれくらいじゃ諦めない。「アサッテ・ワ・ドウスル?」とか聞いてくる。
「アサッテ・ワ・ワカラナイ!」と答えると、「ホテル・ドコ?ムカエニイク!」
とかと言う。きりがないので再び「スリーピング!」と答える。すると「スリーピング???」とドライバーは再び驚く。
僕は、こんなんでいいのか!といつも思う。それは勿論ドライバーにではなく自分に対してである。こんなテキトーでいいのか!?と僕はさらに深く思う。
こんなに不誠実でいいのか?と思う。それは勿論ドライバーに対してではなく、
自分に対してである。
でも何度も何度もそれをくり返してしまう。僕の中での誠実と不誠実の線が、ゆらゆらと揺れる。が、南の島はそれをも許してくれる。いや許してくれそうに思えるのだ。
それからというもの「バリ何回目?」と聞かれる度に、僕は勝手にどこか遠い世界へ旅立つようになってしまっている。