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 夕暮れのワイキキは、「プルメリア」の香り
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久しぶりに夕暮れのワイキキへと足をのばす。ホノルル動物園前のパーキングに車を停め、そこから徒歩でビーチに沿って歩いてみた。昼間のアクティビティを終えてホテルへと向う旅行者達もいれば、これからサンセット・クルーズに出かけようと大型バスに乗り込む人も。そして地元のおじいちゃん達は、ビーチ沿いにあるベンチでチェスに興じたり、ウクレレを奏でて遊んでいる若者もいたり…。ワイキキの夕暮れの風景は、まるでハワイの虹のようにカラフルだ。
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ホノルル動物園から約10分ほど歩いたところにあるクヒオ・ビーチでは、毎晩ハワイアン音楽とフラ・ショーが楽しめる。きょうもまもなくショーが始まるらしく、多くの人がステージの周りを囲んで座り始めていた。サンセットの少し前から開催されるこのショーは、コンクシェルと呼ばれる、ほら貝のような貝の高らかな音とともに始まる。主に現代フラ「アウアナ」を楽しませてくれるが、ほんのちょっぴり、ハワイアン・チャント(祈祷の詩)や古代フラ「カヒコ」も見せてくれたりして、ある意味ではフラの全てが1時間で楽しめてしまう。
やがてステージにはエキゾチックな顔立ちのダンサーが登場し、ハワイアン・バンドの演奏に合わせて次々と踊りを披露し始めていた。そんなステージから少し目を離し、目の前に広がる海に目を向けたとき、以前マウイで出会った男性のフラ・ダンサーのことを思い出した。
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マウイ島で、地元の人たちのホーム・パーティに出席していた私は、そこでカレオという名前の青年に出会った。彼は、有名なクム(フラの先生)について、長年フラを習っているダンサーだったが、「フラは、もともと『ラカ』という男性の神様を守護神に持つ特別な男性によってのみ踊られた『男の舞』だったって知ってた?」と話し掛けられた。地元の川で取れたエビのガーリックしょうゆ焼きを口にほおばったばかりだった私は「ほえ!?」っと、中途半場な返事でカレオの顔を見あげた。
カレオによると、古代ハワイでは、フラはほとんどヘイアウと呼ばれるお寺での宗教儀式として、もしくは戦いへの出陣、あるいは勝利を祝うためのものであり、現在皆が楽しんでいるフラとは意図も形式も全く違ったのだそうだ。これらの神聖な踊りは、フラ・カプと呼ばれ、男性的で力強く、肉体美やセクシュアリティーを強調していたのだとか。
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やがてパーティが最高潮に差し掛かったころ、カレオの友人、カラニが、ハワイアン・チャント(祈祷の詩)を唱えはじめた。そのマナ(魂の力)がこもった歌声は、パーティ会場だった家の広い庭一帯に広がり、まるで神と自然のスピリットが一体化し始めたような神聖な雰囲気に包まれた。そして、その中へ溶け込むかのように入って行って踊り始めたカレオ。神と自然の霊気を体で受け取った彼は、その美しさを踊りで表現しながら、見ている人々の心に安らぎを与えてくれたようだった。おりしも庭に咲いていてプルメリアの花の香りが、その踊りをさらに神秘的に仕立てあげていた。
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そんなマウイの思い出から、ふと我に返りワイキキ・ビーチのステージに目を戻した時、誰かが後ろから「久しぶりだね」と声をかけてきた。その声の向こうには、マウイで出会ったダンサー「カレオ」の日焼けした笑顔があった。私に軽く挨拶がわりのキスをした後、軽やかにステージにかけあがり、夕陽を浴びながら優雅に踊り始めたカレオ。そのしなやかな動きと共に、彼が首からかけていたプルメリア・レイの香りのシャワーが広がって、ワイキキ・ビーチはその甘い香りと共にサンセットを迎えたのだった。
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