「ホノルルの雨は、癒しの香り」

             
     
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 ハワイの雨期は2ヶ月も前に終わったというのに、朝から激しい雨。部屋のラナイから、いつもはくっきりと見えるダイヤモンドヘッドすら良く見えないほどの降り方だ。そんなラナイで朝のコーヒーを飲んでいたら、友達のラニが訪ねて来た。ラニはハワイでは名前の知れたヒーラーなのだが、きょうは彼女と一緒に週末のショッピングに出かけるはずだった。しかしこの雨なので、とりあえず私の家でしばらく天気待ちということになった。
 「今日みたいなすごい雨が降るたびに、思い出すことがあるのよ」と自分でコーヒーを入れてラナイにやって来たラニは、私の横に座りながら言った。彼女はアメリカ本土の出身で、以前からハワイと本土を何度も行き来していたとはいえ、ハワイに移ってきたのは3年ほど前のこと。そのきっかけとなったのがハワイの雨だったのだとか。
 「実はね、ずっと前に本土で交通事故にあってね、それ以来膝が悪くって、なかなか治らなかったの。何をやってもダメだったのよ。もちろん病院にも通っていたし、霊気もやってみたけど、効果がなかったのよ」。

    

 そんなある日、再びハワイに来るチャンスがあった彼女は、ワイキキに「魔法の石」という有名なスポットがあることを聞きつけた。この「魔法の石」は、ワイキキのクヒオ・ビーチ、ホノルル警察の分署のすぐそばにある。「カフナ・ストーン」や「ヒーリング・ストーン」とも呼ばれているこの石には、16世紀にタヒチからハワイにやって来た4人のカフナ(祈祷師)が、それぞれのパワーを石の中に封入したという伝説が残されている。この4人のカフナたちは、そのすぐれたヒーリング・パワーでハワイの多くの人々を癒し、タヒチに帰って行った。彼らはハワイを去る前に自分達のための記念碑を作ってほしいとハワイの人々に願い出た。ハワイの人々はお礼の気持ちをこめて岩を切り出して、4つの記念碑を作ったところ、カフナたちは、それぞれの石にパワーを封入してタヒチへ帰って行ったというわけだ。そんなヒーリング・ストーンに願いを唱えたところ、奇跡のようにその願いが叶ったという話は前から何度が聞いたことがあったが、どこまで信用できる話なのかなと半信半疑だった。

 「ある日の朝、5時にその「魔法の石」の所へ行ったのよ。なぜ5時かというと、私の願いごとを他人に聞かれたくなかったから」とラニ。大声で、ラニは石にむかって「私は今まで多くの人を癒してきました。だからこんどは私の膝を癒してください。膝を癒してもらえたなら、これからさらに人のために、ヒーリングを続けていきます!」と唱えたのだそうだ。するとその次の瞬間、まるでバケツをひっくりかえしたような雨が突然降り出し、当然ながら彼女は全身びしょぬれに。その時石から4人のタヒチのカフナが出てくるのをしっかりと見たのだそうだ。やがて、雨が止み、その場を立ち去ろうとした彼女は、さっきまでは杖なしには歩けなかった膝が、まったく痛みもなくなり、杖なしで普通に歩けるようになってしまっていたのだそうだ。
 「え?ほんとうなの?」と目を丸くして聞く私に「私が今まであなたにウソなんかついたことないわよ。これこそが奇跡だと思ったわ。本当にあれ以来、膝は完治してしまったの」。そしてその雨に打たれて以来、彼女には今まで以上にパワフルなヒーリング力が身について、そのハワイで授かった贈り物をハワイで広めようと、ハワイに移りすんだというわけだ。
「けさの雨も癒しの雨よ。ほら、雨の後ってとってもすがすがしい香りがするじゃない?あれは癒しの匂いなのよ」とラニ。そんなラニの不思議な話を聞いているうちに、雨があがり、空には大地が雨に癒されたことの印、レインボーが美しくかかっていた。