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 「ホノルルの夕暮れは、ダイナミックな自然とロマンの香り」
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毎年12月から4月まで、ハワイにはザトウ鯨の群れがやってくる。いちばんホエール・ウォッチングが盛んなのはマウイ。でも、ここホノルルでも1月から2月にかけては、ダイヤモンドヘッドのあたりなどからも、肉眼で鯨が潮を吹く様子が良く見える。久しぶりに車でマカプウ岬付近を通りかかった時も、遥か彼方ではあったけれど、鯨の親子が豪華なブリーチングと呼ばれるジャンプを繰り返しているのを見ることができた。岬の崖に座ってその様子をしばらく眺めていると、いつもこの場所で釣りをしている名物おじさん、カラニがやってきて「きょうはよく鯨が見えるよなあ。アラスカで夏を過ごしたやつらは、結婚と出産のためにハワイに毎年やってくるんだけど、今年は例年より数が多いみたいだなあ」と話しかけてきた。
その昔、ハワイは捕鯨船の燃料や食料補給には欠かせない港として栄えていたことがあった。しかし鯨を乱獲して、特に絶滅の危機にあったザトウ鯨は、1966年に国際保護法が実施されてから、毎年生存頭数が増加しつつあるようだと、カラニが説明をしてくれた。
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鯨の親子が、やがて視界から姿を消すと「今から、友達のボートで海に出るんだけど、いっしょにくるかい?」と、思いがけずカラニがサンセット・クルーズに誘ってくれた。こんなチャンスはまたとない!ということで、さっそく夕暮れが迫るホノルル港へと車を走らせた。
ホノルル港では、すでにカラニの友人のダグラスとラニが出向の準備をおこなっていた。「いい天気だし、船上バーベキューのディナークルーズだぜ!」と、ダグラスはデッキにテーブルをセットし、ラニはバーベキューの用意を始めていた。
ホノルル港を後にしたボートは、ゆっくりと沖へ繰り出す。夕暮れの潮風は、心地よく涼しくて、潮の香りを胸いっぱいに吸い込むと、その日1日の疲れが吹き飛ぶような感じだ。
ダウンタウンの街並みが、どんどんと遠ざかってきた頃、ラニがコンロでカラニが釣ってきた魚を焼きはじめ、あたり一面に香ばしい匂いがたちこめ始めた頃、ボートを操縦していたダグラスが叫んだ。「右前方に鯨発見!」と彼が言うやいなや、大きな鯨が突然海面に突き出して弧を描くように豪快にジャンプをして見せた。そのあまりの大きさに、私は声もなく佇んでいたが、鯨は潮吹きを見せてくれたり、尾ヒレで水面を叩くようなしぐさをしたり、何度もジャンプしながら私たちの乗っていたボードの周りをぐるぐると泳ぎ回り始めた。「いやあラッキーだぜ!こんなに近くで見られることはめったいないからなあ」とダグラス。夕暮れの太陽を浴びて、優雅に泳ぐ鯨の姿は、広い海原をキャンバス代わりにして、ダイナミックに描く自然の芸術そのものだと思った。
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鯨がひとしきり、泳ぎまわって去って行った海に、ゆっくりと大きな太陽は沈み始め、海上一面が金色に光り始めた。「最高の夕暮れ、最高のホエール・ウォッチング、そして最高のバーベキューに乾杯!」と、日焼けした笑顔でビールと魚に舌鼓を打つダグラス達の笑顔が、その太陽以上に光り輝いてまぶしかった。やがてホノルルの海に彼の海で鍛えたたくましい身体がシルエットとなって写り、海の男のロマンの香りをあたり一面に漂わせていた。
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