Report-4
フラーの居住空間について
 当時フラーは、地球上に住む多くの人がまともな住環境に暮らしていないという事実(現在も状況はそう変わらない)に、それを改善するには、高性能な住宅を安く(自動車1台分の値段ぐらいで)大量に提供できれば世界は変わると考え、新しい居住システムのデザイン始めた。コスト削減のために、使用資材を少なく、もっとも効率的な形態で利用すること(より少ないもので、より多くのことを為す)、単位体積あたりの表面積がもっとも小さな幾何学構造を利用するということから、ドームというデザインに行き着いた。
 ドームは、工場で大量生産でき、驚くほど短期間に誰でも簡単に組み建てることがでる、また軽量なので移動することが可能、強度はどんな自然災害にもたえうる強度を持つという理想的でザインであった。
 フラーはエコロジー思想から「バイオスフィア(生存圏)」という言葉をつくり、最大なバイオスフィアは地球、最小のバイオスフィアは個人生活で、個人生活の生活器としての住居も地球と同じように再生的機能を持つ自律型住居でなければならないと考えた。
 自立したエネルギー制御装置と再生装置を持つ自律型住居は、ライフラインからの束縛を離れ何処にでも建てることが可能となり、船が一水域と共に販売されることがないのと同じように、住居が土地の一区画と共に販売される必要がなくなるだろうと考えた。自立したエネルギーシステムを持ったドームハウスは自動車と同じようなシステムで販売することが可能になり、誰もが車を購入するときと同じような値段と気楽さで快適な住居が手に入るはずであった。
 フラーはその時代に手に入る資材とテクノロジーで、自立したエネルギーシステムを持つドームハウスをデザインしたが、旧態依然とした建築基準法や、フラーの新しすぎる考え方やシステムに脅威を感じた経済界の抵抗で、彼の計画は実現しなかった。
 フラーの計画は産業としては実現しなかったが、自律する居住システムの実験は続けたし、彼の思想と理想は多くの学生を魅了し、そして彼らに引き継がれた。また彼のシステムはヒッピームーブメントを支えた。1968年に創刊されたホールアースカタログで、発行者のスチュアート・ブランドは「バックミンスター・フラーの洞察力が、ホールアースカタログを出版する切っ掛けとなった」と序文に書いている。
 R・バックミンスター・フラーのエコロジー思想や、物質を情報に置換するデザイン手法、また彼のデザインしたシステムなどからは学ぶことがたくさんある。フラーはデザインが成功するまでには懐胎期間が必要であるといった。テクノロジーが爛熟し、世界的ネットの充実で社会のあり方が変わりつつある今こそ、フラーのデザインの懐胎期が終わったのではないだろうか?
 パラダイスラブ楽園生活研究所はフラーの残してくれたものを参考にデザインして行くつもりである。

 掲示板に難しくて分からないという意見がありましたが、確かに、フラーのぼうだいな仕事を簡単にまとめて紹介しようなんていうのは無謀なことで、フラーについてもっと詳しく知りたいと思う方は、『バックミンスター・フラーの世界』ジェイ・ボールドウィン著、梶川 泰司 訳。美術出版社発行をお読みください。
次回はパラダイスラブの居住システムついてのレポート。