Report-2
建物について
 パラダイスラブでは自給自足が原則であるから、建物もパラダイスラブ住人自らの手で建てることになる。楽園生活研究所の建物も当然自分達の手で建てるのだが、どんな建物にするかが問題となる。だが私がここで問題とするのは、建築方法やデザイン、材料のことではなく、建物(シェルター)に対する考え方なのだ。
 人が生活(生存)するための三大要素というのがある。食料、エネルギー、シェルター(建物)の三つである。シェルターは文字どおり生活の保護殻として、自然の脅威や外敵から生活を守るためにより頑強なものへと発達してきた。その結果、大地にどっしりと固定され、自立するための強度を保つために多くの資材を必要とするようになってしまった。したがって一旦家を建ててしまうと、簡単に移動することは出来ず、おまけにその支払いのために人生の大半を費やすことにもなる。他に大地に固定する理由としてエネルギーなどの供給がある。つまりライフラインといわれるものだ。ライフラインに繋がっていないと生活ができないから大地に固定するしかないのだ。パラダイスラブではライフラインは自前であるから、シェルターを大地に固定するということにこだわる必要がない。
 パラダイスラブでいう楽園生活とは、自分達だけが楽しく暮らすということではなく、人類の楽園のことで、人類がこれから先、いかに環境を変えずに楽しく暮らすかという方法論のことである。その観点からシェルターについても今までの常識から離れなくてはならない。
 ハンドメイド・ハウスというとすぐ頭に浮かぶのはログハウスである。私も森の中でログハウスに住むことに憧れたことがある。しかし、今以上の環境破壊をくい止めなければいけない時代に、ログハウスは建物としての効率が悪すぎる。「より少ない資源でより効率的なデザイン」が必須なのだ。この理論を70年以上前に唱えデザインしてきた人物がいる。R・バックミンスター・フラーである。彼の理論とデザインは、21世紀の今まさに必要とされるもので、また彼の理論とデザインは、現在のテクノロジーを持って初めて実現できるものなのだ。50年代、60年代、彼の理論とデザインは注目されたが、テクノロジーがついていけなかった。60年代後半には彼の理論にピッピー達が多大な影響を受けて、自立したエネルギー制御装置を持つドロップシティーを西海岸に造ったが、当時の政府につぶされてしまったということもあった。私の考えるパラダイスラブもヒッピームーブメントの延長線上にあるし、フラーの影響を受けているので、シェルター(建物)についての考え方は、R・バックミンスター・フラーの理論とデザインをすこし紹介したい。
次回はR・バックミンスター・フラーについてのレポート。